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理事会文書02 / 15 [ Mon ] 23:22 編集

WAN理事会からの事情説明文書

すでに各所から重複して転送されてきているのですが、WAN理事会が今回の労働争議について事情説明をする文書(PDFファイル)を、2月14日付けでWANの会員や呼びかけ人にメールで送っています。くだんのメール文書は「転載禁止」とはされておりませんので、このブログをご覧のみなさまにもお読みいただきたく、ここに公開いたします。

↓まずはメールのレターヘッド部分です。

WANを支えてくださっている皆様へ
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現在NPO法人WAN理事会では、ご勤務いただいてきた二人の方に、2月末で退職してくださるよう、お願いしております。女性の活動をつなぐことを目標としているWANにとって、働いていただいている方々にこのようなお願いをしなければならないことは至極無念であり、理事会として大きな責任を感じています。しかしながら、理事会としては、皆様の志で運営しているNPO法人WANとしての責任を果たし、かつ、お二人に可能な限り誠実に対応をするために、こうした苦渋の選択をするに至りました。添付ファイルにて詳しい事情を説明しますので、皆様にご理解をお願いする次第です。

WAN理事会では、協議の原則にのっとって、協議内容にかかわる情報を協議途中でお伝えするのをこれまで控えておりました。しかし、皆様から心配や懸念の声が寄せられていることを鑑みて、本WAN -NEWSメールにて、WANを支えてくださっている皆様に事情を説明することとした次第です。添付ファイルの説明には、個人にかかわる情報も含まれておりますので、取り扱いには十分ご注意いただきますようお願いいたします。この間、ネット上では、組合からの一方的な情報、さらに第三者による、組合の情報だけに基づいた、あるいはまったくの憶測による誤解に満ちた発言が流されています。さらに、2月12日に行った協議のさいには、組合が私たち理事会に無断でツイッターによる実況中継を行い、交渉にあたる個人名やWANの内部資料がネット上に暴露されるという事態まで発生しました。WAN理事会として抗議を行っておりますが、皆様にはさらにご心配をおかけすることとなり、誠に申し訳ありません。WAN理事会としては、なるべく早く事態を解決できますよう、努力してまいりますので、よろしくご支援ご理解をお願い申し上げます。

2010年2月14日
NPO法人ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)理事会



↑文中に、「この間、ネット上では、組合からの一方的な情報、さらに第三者による、組合の情報だけに基づいた、あるいはまったくの憶測による誤解に満ちた発言が流されています」とありますが、以下の文書は理事会側の見解ですので、これについてなんらかのコメントをすることは、「まったくの憶測による誤解に満ちた発言」にはならないということになります。

↓つづいて、添付のPDFファイルをテキスト化したものです(かなり長いです)。原文中にはAさんとBさんの時給がそれぞれ明記されていましたが、その部分は伏せ字(****)といたしました。


WANを支えてくださっている皆様へ この間の事情の説明

2010年2月14日
NPO 法人ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)理事会

現在、NPO法人WAN理事会では、4月および6月からご勤務いただいてきた二人の方 (Aさん・Bさん)に、2月末でご退職いただけるよう、お願いをしているところです。女性の活動をつなぐことを目標としてサイトを運営し、女性の労働権を守ることを重要な課 題の一つとして活動しているWANにとって、働いていただいている方々にこのようなお願いをせねばならないのは、至極無念で、理事会として大きな責任を感じています。しかしながら、理事会としては、皆様の志で運営しているNPO法人WANとしての責任を果たし、 かつ、お二人に可能な限りの誠実な対応をするために、こうした苦渋の選択をしたものです。

以下に、事情をご説明し、皆様のご理解を願う次第です。

1) 適正で望ましい労働条件の実現をめざして
私たちは、現在の社会での女性の雇用について問題意識をもっているがゆえに、これまでお二人の待遇については、一般的とされる以上の条件を保証し、それぞれのご要望を可 能な限り受け入れてきました。

まず、ウェブマスターおよび、サイト制作業者との連絡および制作補助を担当していただいたAさんは、他に社会保険の付いた仕事と語学専門家としての仕事をお持ちですので、 それらに支障がないように働きたいというご要望を受け入れ、週3日(11月からは2日) 各5.5時間(うち1時間は有給の昼休み)という労働形態を了承しました。時給も、当初の 約束は ****円でしたが、仕事内容はそれを上回っているから****円に上げよ、というAさんの要求を承諾しました(5月)。財務上、この時給を支払い続けることは難しいと考えていましたが、制作の一部をお願いしている間はその金額を支払い、その後は、負担減に応じて時給を当初の水準に戻すことも考慮しつつ、サイトの活性化と活動の発展によって、このような高水準の時給を維持できることを願っていました。有給休暇も、通例の6カ月勤務以後を待たず年5日(Bさんは7日)を認め、時間外勤務手当についても、通例の「40 時間以上を超える部分に割増」をするのではなく、勤務時間外にはすべて割増賃金を支払う(6月以降)など、できるかぎり良好な雇用条件の実現をめざしてきました。

法人事務および事務所管理をお願いしたBさんについても、一般の女性パートタイム時給は不当に低いと考えておりましたので、時給****円の週4日勤務(うち週2日は半日勤務)としました。女性を安く不安定な身分で働かせる世間の非正規雇用とは異なる雇用を保障したいと私たちは考えてきたのです。ただ、手探りでのWANのスタートでしたので、長く働いていただけるように努力したいと思っているがどこまで雇用を保障できるかはわからない、ということはお伝えしていました。

2) サイト運営とAさんの事情とのギャップ
昨年5月末のサイトのスタートの前後からすでに、Aさんの勤務形態では仕事をしていただく上で無理があることが判明しました。その頃のAさんの仕事内容は、通常のウェブマスター業務のほか、業者と協力してサイト制作の一部を担当するというものでした。しかしその仕事量が過剰であり、ストレスが高まっているとAさんから、強い調子で訴えがありました。これらの仕事は、サイト制作業者とAさんを交えた話し合いにより、Aさんご自身が提案されて引き受けられたものでしたので、理事会はご負担の重さへの配慮が十分ではなく、そのこともAさんのご不満を高めることになったと思われます。理事会では、Aさんの苦情を受け、Aさんには、決まった時間内を超える仕事をお願いしないよう極力努力することを約束しましたが、Aさんは理事たちに対して対立的な態度をとられるようになり、コミュニケーションに支障をきたすようになりました。

理事会は、その後、Aさんとの関係に最大限配慮し、とりわけ仕事の負担が過剰にならないように努めました。6月には、Aさんから、業務依頼はAさんの勤務時間内に事務所に電話するように、メールでの業務依頼は「週1通未満」にまとめるように、との要請がありました。それではとても円滑なサイト運営はできないとの懸念はありましたが、他に二つの仕事をお持ちの Aさんの事情を考え、やむなくこれも了承しました(Aさんは、一部の仕事を自発的に自宅でしてくださったこともありました)。

しかし、このことは、WANサイトの運営にとって、大きな障害となっていきました。Aさんの短い勤務時間ではしていただける仕事に限りがあり、サイトを活発化させる企画やアイディアがあっても、理事や担当者たちも仕事を別に持つボランティアですので、Aさん の勤務時間内に合わせての打ち合わせの時間を取れないことが多いのも問題でした。サイトのデザインやユーザビリティに関してNPO会員やユーザーの方々からご批判をいただ き、サイト改善の必要性を痛感していましたが、このような状況のなかで、サイトの改良を前向きにすすめることはできませんでした。

そこであらたに業者を入れて、サイト改善をすることを考え、10月から業者を探し始めるとともに、このことをAさんに伝えました。そこへ11月初め、Aさんから、勤務を1日減らし週2日(各5.5時間)にしたい、との要望がだされました。理事会では、それを了承するとともに、サイト運営がますます停滞することを防ぎ、また最大の課題となっているユーザビリティを向上させるためにも、新業者の導入が必須であるとの結論に達しました。新業者導入は、Aさんに負担をかけることなく、同時にWANサイトを円滑に運営してWANの目標に近づくための選択でした。

3) サイトリニューアルとAさんの労働条件変更
新業者を導入するにあたり、複数の業者に依頼し、現在のサイトの分析と改善案の提案をしてもらいました。その結果、現在のWANサイトのシステム上の問題点が指摘され、WANサイトを改善していくためには、大幅なリニューアルが必要であることがわかりました。なかでも、現サイトは、Aさんの提案により、基本システムとしてxoopsを使用していますが、xoopsではサイトの大幅な改善は見込めず、サイト発展のためにはシステム自体の変更と、それによる大規模なリニューアルの必要性があること、そして、リニューアルに伴い、Aさんに時給****円で担当していただく制作の仕事が不要になることが判明したのです。複数の専門家に意見を求めましたが、意見は同じでした。一方、新システムでのサイトリニューアルをAさんご自身のイニシアティブで進めることは、労働時間の制限からも、スキルの点からも、不可能と判断せざるを得ませんでした。

WAN理事会は、発足1年もたたないうちにサイトを大幅リニューアルするのは適切か、そしてAさんの労働条件に影響を与えざるを得ない点をどうするか、という大きな問題に直面しました。しかし、システムおよびその運営体制に大きな問題を抱えたままでは、サイトを発展させることはおろかWANの維持さえもおぼつきません。そうなれば、NPO法人WANとして、法人会員に責任が果たせず、ひいては、Aさんの雇用も結局は守れないことになってしまいます。それゆえ、WAN理事会は、困難な選択ではありましたが、新システムによるサイトリニューアルを決断しました。

そのさい理事会では、労働条件の多少の変更があってもAさんの雇用を守りたいと考え、Aさんにサイト運営補助の仕事をやっていただけないか、それでご不満であれば、新システムの中でやってもらえる仕事を提案していただけないかとお願いしました(12月11日)。 しかし、Aさんは新業者を入れての体制変更を全面撤回せよと主張され、話し合いは平行線となりました。その後、話し合いは続けましたが、進展をみず、新業者が入った12月末から今日まで、していただく仕事が無いまま、元の賃金(時給****円)を支払い続けています。決してAさんの労働条件を一方的に引き下げたのではなく、変更をお願いし、協議を続けてきたのです。

Aさんは、業者によるリニューアルについて事前に相談がなかったことを問題であると主張しておられます。実際には、Aさんに10月にはすでに新業者を入れたいと思っていることを伝えてはいましたが、サイトリニューアルに関してAさんの意見を聞くことはできませんでした。それは、上記のような勤務時間の制限からAさんと相談する時間が取れなかったことと、Aさんと理事たちのコミュニケーションに問題があったためです。上述のように、サイト発足まもなくからすでにコミュニケーションが悪化していましたが、その後も、Aさんは、どういう作業をやっているか、今後の制作の見通しはどうなっているのかを「素人」の理事たちに説明するのは時間の無駄であると拒否され、業務上に必要なコミュニケーションも成立しにくい状態になっていました。もちろん、使用者であるWANにコミュニケーション改善の責任の一端があったことは承知していますが、WANとしては、良好な労働環境を作るためにAさんの要望をできる限り受け入れていたにもかかわらず、Aさんが対立的な態度を取り続けられたことは、まことに残念かつ遺憾に思います。

なお、事務所の閉鎖についても、そういう考えが浮上した時点で相談すべきであると組合は主張されています。しかし、12月末にAさんにかかわる争議が始まって以来、Aさん・Bさんで作られている組合は、協議の最中であるにもかかわらず、協議内容にかかわる情報を一方的にウェブ上で公開し(通常は、円滑な協議の進行のために、双方が合意した事項以外は、途中で公開するのは避けるのが原則です)、しかもその中でWANの信用を失墜さ せるような発言を繰り返しておられたこと、また、サイト作業に関して理事会の要請を無視する行動を取られたことなどから、Aさん・Bさんと信頼関係を維持することができず、 重要な事項について相談をする機会を持つことができませんでした。

4) 財務状況の悪化と現事務所閉鎖
WANでは、法人会員の皆様からの会費と、とりわけ発足時にお寄せいただいたご寄付で運営を行っています。当初より、財務上、運営が容易ではないことは予測しており、ご寄付を基金(特別会計)とし、経常経費について必要最少額を基金から繰り入れつつ、会員を拡大し、サイトを活用した事業や広告収入の獲得を図って、3年後には経常収支で黒字運営ができるよう努力する計画でした。そのため、事務所をもち、法人事務を担当していただくスタッフとしてBさんを雇用しました。

しかしながら上記の事情で、これまで通常のサイト運営をすることさえ困難であり、サイトの発展と収入増加につながるような積極的な事業を行うにはいたっていません。また、法人会員についても、サイト改善によって活動を活発化させ、来年度の会員継続ならびに 新規会員の獲得に最大限の努力をするつもりですが、現時点の会員数190名を維持できる かどうかさえ、まったく予想できません。このような状況の中で、あらためて法人の財務事情を見直しますと、サイトリニューアルについては基金(特別会計)から支出させていただくとしても、経常支出は、できるだけ会費収入よりなる経常収入の範囲内に収めるよう努力せねばなりません。1年目の初年度は、立ち上げの費用として、特別会計から経常会計へ相当な繰り入れをいたしましたが、それを続けると、2年目ですでに基金を全部食いつぶすことになってしまい、それは法人会員の皆様への責任として、とても許されないことです。そこで、経費節減の第一として、現事務所を閉鎖、事務所機能や会議室を家賃のかからないところに移転することが必須と考えるにいたりました。

しかし、現事務所の閉鎖は、Bさんの雇用に直結します。Bさんの主たる仕事内容は、事務所の管理と法人事務ですので、事務所が無くなれば前者の仕事は無くなり、法人事務も私的居宅に事務所機能を移し理事のボランティアで担うことになったため、その仕事もなくなります。Bさんにつきましては、週24時間勤務ではあっても、WANの仕事を生計のメインにしておられることを私たちは重々承知しており、実は、これまでも、ご勤務の時間に見合う仕事量はなかったのですが、サイトを活性化し会員や寄付を増やす努力をして、Bさんの能力と労働時間に見合った仕事を作っていくべきと考え、雇用を維持してきました。それだけに、Bさんに退職をお願いするのは、断腸の思いなのですが、このまま事務所を維持すればあと1年もしないうちにWANは運営が立ち行かなくなり、雇用が維持できない結果に追い込まれます。そのことを考えれば、可能な限りの誠実な条件を今提示して、円満な退職をご了解願うより他に方法はなく、事務所を2月末で閉鎖することを決断いたしました。Aさんにつきましても、労働条件の変更についての話し合いに応じてもらえず、事務所で勤務してもらうこともできなくなるため、誠実な条件を提示してご退職願うことを同時に提案させていただきました(1月31日)。

以上のような理由から、Aさん・Bさんそれぞれに、事情は異なりますが、ご退職をお願いすることとなりました。このことには、WAN理事会として、非常に大きな責任を感じています。私たちは、おふたりの雇用とWANの継続を同時に確保すべくぎりぎりまで努力してまいりましたが、現在のWANの経営的力量の限界、事業展開上の能力のミスマッチ、労使の信頼関係が著しく損なわれたことから、やむを得ない決断と考えております。ご退職願うに当たっては、お二人に対し、理事会としてできるかぎりの誠意(解決金を含む)を 示し、納得していただける和解が迎えられますよう、努力する所存です。

5) WANの使用者としての自覚の不足とNPOのありかた
以上、縷々、退職をお願いするにいたらざるを得なかった事情をご説明してきましたが、今回の事態の最大の原因はWAN理事会の、雇用と経営についての予測・見通しの甘さにあ ることは言うまでもありません。この点については、WAN法人会員の皆様をはじめとして、WANを支えてくださっている皆様にも、深くお詫び申し上げます。

私たちは、皆が志をもちよって目標実現のためにできることをともにしていく、全員がボランティアのNPOとして出発しました。そのために、使用者としての自覚が当初十分ではなく、サイト運営や経営についても未熟なままスタートしたのは事実です。私たちは、このことをしっかりと反省しつつ、しかしながら、多くの方々の志で成り立つNPOとしての基本から離れることなく、今後もWANの運営をしてまいりたいと考えています。皆様に は、今後とも、WANへのご支援ご指導をよろしくお願い申し上げます。

以上
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